フォトブログ

マッチ一本、学びの元

マッチ一本、学びの元


理科実験を通して生徒たちは理化学機器を自在に操れるようになります。でも、これは理科塾の伝えたい学びの本質ではありません。

情報やAIが搭載されたデバイスなど、文明が進化するほどにものの原理や仕組みは簡単便利の名の下にカプセル化されていきます。

ものの原理と仕組みを知り、洞察と思考を深める。理化学機器を自在に操るには裏打ちされた知識と理解に基づく必要があります。

恐れと不安ばかりを口にする人はうわべの情報に流されてしまいます。


好奇心は学びの一歩、不確かな時代だからこそ学び考える喜びを伝えたい。


マッチ一本が与えてくれる学びとは。
理科塾コラム|理科実験で伝える学び、得る学びに綴りました。

 

石灰と日本一長い私道

IMG_1468.JPGwebl.JPG

皆さん、日本一長い私道をご存じですか?その長さはなんと31.94㎞にも及びます。上沼恵美子邸の門扉から玄関までを結ぶにしても長すぎますね。

山口県にある宇部興産専用道は、石灰石の鉱山から港の工場までを結ぶ石灰石輸送専用の道路です。高速道路並みの道路にはトンネルも巨大な橋もありますが、一般車両は立ち入ることができません。

山陽自動車道を走った時、標識もなく上を交差する立派な道路に「これかぁ」と感激したことがあります。


ここを走るのは、全長30m・タイヤ数34本を有するダブルストレーラーです。鉱山から港の工場まで石灰石を日夜運搬しています。

ダブルストレーラーは、その名の通り貨車を2台連結しています。港の工場に到着するとガソリンスタンドのような施設に停車します。貨車底部の開口部が開き、地下の貯蔵庫へ石灰石を一気に放出します。

放出の勢いで巨大なダブルストレーラーが浮き上がる様子は圧巻です。軽くなったダブルストレーラーは休む間もなく再び鉱山へ戻っていきます。働き者ですね。

ダブルストレーラーの動画に惚れ惚れして何度も見入ってしまいました。

宇部興産ホームページ>企業情報>UBEグループを知ろう>宇部興産専用道路のページでダブルストレーラーの雄姿をご覧ください。(誰も見ないか)


いやいや、石灰の話をするはずでした。

石灰石(炭酸カルシウム)は化学反応により多様な石灰のすがたへ変化します。

熱分解により酸化カルシウム(生石灰)

水と反応して水酸化カルシウム(消石灰)

二酸化炭素と反応して再び炭酸カルシウム

石灰はセメントの材料として知られていますが、その用途の幅は広く、食品・医薬・乾燥剤・製鉄などに用いられています。あっ、ひもを引っ張ると温かくなるお弁当も生石灰の仕業ですよ。

身の回りのどんなところで石灰が活躍しているのか、ちょっぴり意識してみませんか。

 

 

 

 

 

近未来のエネルギー

近未来のエネルギー

コロナ関連の報道がメディアを賑わしています。その陰に隠れて先日、豊田中央研究所が人工光合成の高効率化に成功したとの報道がありました。これは地球環境や私たちの近未来の生活に直結する凄い成果なんです。

人工光合成ってなんだ?と思われた方にざっくりと説明します。

理科の教科書で登場する植物の光合成とは、水と二酸化炭素が光によって酸素とデンプン(または糖)に変えられるはたらきを指しますね。このはたらきを人工的に再現する試みがなされています。現在の研究では、水と二酸化炭素から酸素とギ酸やメタノールを生成します。

デンプンや糖ではないの?と思われるかもしれませんが、分子構造がより簡単なギ酸やメタノールも有機物として利用価値の高い物質なのです。ギ酸は燃料電池の燃料となる水素を発生させる素となり、メタノールは石油や石炭などの代替燃料としてその利用が期待されています。

人工光合成セルは二酸化炭素の削減問題や化石燃料の枯渇問題に光明の一筋となるでしょうか。子どもたちが結婚して家庭を築く頃には、光合成セル装置が一家に一台常備されているかもしれません。

人工光合成とは関係ありませんが、バックトゥザフューチャーPart3でデロリアンの燃料としてドクが生ごみを入れていたシーンが頭をよぎりました。技術革新がもたらす近未来の生活は意外と近くまで来ている気がします。

(画像は理科塾での実験の一コマです。当然ながら人工光合成とは関係ありません。あしからず。)

 

 

プロジェクトX!

プロジェクトX!

手回し発電機をグングン回して水を水素と酸素に分解しましょう♪

こちらの機器は大阪の町工場から生まれた傑作品です。

何がすごいって?

水の電気分解は化学の定番実験として知られています。水の分解と言いながら、水酸化ナトリウムや硫酸カリウムが用いられます。ゆえに「水じゃないぞ」と腑に落ちない子どもがいるのではないでしょうか。

実は、100%純粋な水は導電性がありません。雷が海に落ちて遊泳している人が感電するのは海水に塩やマグネシウムなどの電解質が溶けているためです。そこで、水の電気分解実験では水に電気が流れるように、導電性の高い水酸化ナトリウム水溶液を用いるわけです。

こちらの機器はなんと!水道水で電気分解実験が可能です。安全・安心・後処理もチョー楽ちんなことはもちろん、生徒さんも水が水素と酸素からできている事実を納得・実感できます。

社員8人の小さな会社が考え抜いて製品化に成功しました。まさにプロジェクトX! その技術力と発想力と矜持に敬服します。

「お部屋の酸素濃度を上げたいな。」
「ちょっとだけ水素が欲しいな。」

そんな時、ご家庭に1台いかがでしょうか。

 

 

実験から学べる力

実験で学べる力

クリームブリュレのキャラメリゼをしています。

下からはブンゼン式ガスバーナーで、上からはトーチバーナーで熱しましょう。創成期の地球の大地を見るようですね。その温度は800~1000度に達しています。

キャラメリゼといえば、パリパリした食感と香ばしい風味と上品な甘さを連想します。画像を見る限り、キャラメリゼの新世紀に突入したようです。

ガラス製や陶磁器製の理科学器具を熱する際には急熱・急冷を避けましょう。素材の特徴や仕組みを理解した上で、安全に取り扱う方法も学びながら実験に取り組みます。

実体験しながら考える過程で、座学では学べない力を育めます。今年の中学受験理科も日常に結び付いた応用問題が出題されました。一歩立ち止まって物事の仕組みや裏側を洞察する習慣を身につけましょう。

えっ、何の実験をしているのかって?クリームブリュレのキャラメリゼじゃないことだけは確かなようです。

 

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9